暖簾(のれん)の色の選び方
オーダー暖簾の製作時に、デザインと同様に生地の色選びで悩まれる方は意外と多くいらっしゃいます。
結論から申し上げると、製作される方のお好きな色を選べばよいという、元も子もない回答に行き着いてしまうのですが、色が表す意味や象徴、色が人に与えるイメージや印象についての知識を身に着けておくことで、使用目的に合った効果的なオリジナルのれんの製作に役立てることができるはずです。
オリジナル暖簾のオーダーメイド製作で、生地の色選びで悩んでいる方は、参考までに一度ご覧いただければと思います。
暖簾(のれん)生地の色の意味
街では色取り取り、様々な色の暖簾を見かけますが、暖簾の生地の色には本来、様々な意味がありました。
古くは平安時代頃から現在まで、日本の文化に根付いてきた暖簾ですが、特に昔は以下のように生地の色ごとに職種が分類されていたため、のれんの色をひと目見ただけで何を取り扱っている店舗か判断できたともいわれています。
■暖簾の色と職種の関係
-
- 紺・藍色
- 堅実な商売を意味する紺・藍色は、酒造業や呉服商など、多くの商家に使用されてきました。紺・藍色と一言で言っても、繰り返し何度も染め重ねた濃紺から、一度染めによる薄い藍色まで様々で、色の濃淡によって人に与えるイメージや印象を変えることができます。
-
- 柿色
- 「かちん染め」と呼ばれる技術から生まれる、赤茶色のことを指す柿色は、高級感を意味する色として、高級料亭や小料理屋などで頻繁に使用されます。元々は吉原・島原などの花街では、遊女の最高位の太夫がいる店や、太夫を招くことのできる揚屋(高級料亭)だけに許された色だったということです。
-
- 白色
- 広く食べ物を扱う飲食店で使用されることが多い白色の暖簾。元々は砂糖を多く使用するということから菓子商が使うようになり、清潔感があるということもあり、広く食べ物を扱う飲食関係のお店で使用されるようになりました。他にも、昔は砂糖が薬として使われていたという節があることから、薬種商でも採用されていました。
-
- 茶色
- 江戸時代には煙草商の象徴として認知されていた茶色の暖簾。煙草商以外でも、薬種商・種苗商も使用していたと言われています。やがて時代とともに、暖簾の色に対する約束事も薄れ、呉服商・菓子商・茶舗などでも広く採用されるようになりました。
のれん生地の色決めに役立つ!色ごとのイメージや効果
私たちの生活の中に溢れている様々な色には、それぞれに人間の多様な感情やイメージを湧きあがらせる不思議な力があります。
自分が好きな色を感覚的に選びオリジナル暖簾製作に反映させるという方法も決して間違いではありません。ただ、製作したオリジナルのれんを目にした人達がどのような印象を抱き、行動を起こしてくれるのかという事と、のれんの製作意図を照らし合わせながら、用途に合った色を選ぶという方法も、より効果的なオリジナルのれんを作るためには有効な手段なのかもしれません。
あくまでオリジナルのれん製作の参考としてご覧いただければと思います。
白色
元々は砂糖を使用する菓子商や薬商が主に使用していた白色のれん。現在では、清潔感があり、日よけや涼しげな雰囲気を演出する効果があることから、業種を問わず夏に使われることが多いです。また、白いのれんは初夏の風情を表す言葉として、俳句の季語としても使用されています。
白色暖簾の製作実例:のれん|『あかり屋』様の店頭用としてオリジナル製作!
黒色
強い意志・威厳・プロ意識などを表す黒は、品格や高級感を連想させる色でもあります。青色と同様に、海の色のイメージも強いことから、お寿司屋さんや海鮮・鮮魚系のお店でもよく見かけます。黒は他の色とのコントラストが強いので、ロゴマークや文字もとても引き立って目立ちます。また、紫外線を吸収してくれる色なので、日よけ幕として効果があると言われています。
黒色暖簾の製作実例:のれん|居酒屋さんの店内装飾兼間仕切り用としてオリジナル作成!
こげ茶色
堅実さや、信頼・安心などを想起させるこげ茶色。高級感の中に落ち着いた雰囲気と品格も感じ取ることができることから、黒色のれんと同様に、お寿司屋さんや海鮮・鮮魚系のお店でもよく見かけます。美味しいコーヒーが味わえるカフェや喫茶店の暖簾にもぴったりです。
こげ茶色暖簾の製作実例:のれん|『豊年満作石垣店』様の店頭用としてオリジナル製作!
紺色
紺色は嫌う人がいないと言われている世界的な嗜好色です。品格・沈静・洗練を象徴する色というだけではなく、堅実な商法を表す色ともされています。過去から今日に至るまで、呉服屋・酒屋・そば屋など業種を問わず、様々な業態の暖簾として使われる人気の色です。藍染めで出す紺色のれんには、虫が嫌う成分が含まれているため、防虫効果が期待できると言われていたため、「悪い虫が寄り付かない」という意味合いも持つことから、呉服屋やそば屋などでは昔から重宝されていました。
紺色暖簾の製作実例:のれん|『居酒屋かめや』様の店頭用としてオリジナル製作!
紺色暖簾の製作実例:日除けのれん|『蓮心庵』様の店頭用としてオリジナル製作!
青色
青色は多くの人が、海の色や空の色を連想し、清涼感や爽やかな印象を受ける色です。定番の浴場・お手洗いの他にも、お寿司屋さんや海鮮・鮮魚系のお店でもよく使用されています。一方で知的で落ち着いた上品なイメージも与えることができます。例えば書店などの知的な雰囲気を持ったお店や空間の装飾にもオススメです。
青色暖簾の製作実例:のれん|『昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉』様の風呂・トイレ用としてオリジナル製作!
赤色
情熱や自信を表す赤色の暖簾は、ラーメン店や居酒屋をはじめとした飲食店でも頻繁に使用されることが多い色です。遠くからでもとても目立つので、お店の存在をアピールできて客引きの効果があると言われています。また、赤色は縁起が良い色ともされています。ただし、のれんの文字色には赤は使わないのが一般的です。理由は赤い字が商売の「赤字」を連想させるためです。逆に黒い文字は商売の「黒字」を連想させるため、暖簾の表記に頻繁に使用されています。定番の浴場・お手洗い用としても赤色のれんは根強い人気です。
赤色暖簾の製作実例:風呂のれん|『ふなばしメグスパ』様のお風呂の入り口用としてオリジナル製作!
緑色
植物の色としても広く認知されている緑色は、穏やか・寛ぎ・爽やかなどを連想させ、安心や安定、調和などを表す色です。空腹を満たし、人の心を落ち着かせてくれる、和菓子屋さん・カフェ・レストラン・和風の小料理屋さんなどの飲食店の他、整骨院やリラクゼーションサロンなどの身体の不調を改善してくれるお店やクリニックの暖簾にぴったりです。目に負担をかけない優しい色でもあり、心や筋肉の緊張をほぐして疲れを癒やしてくれます。また、緑色はコントラストが強いため、組み合わて使用した他の色がくっきりと目立つという特徴がある、オリジナル暖簾製作でも人気の高い色です。
緑色暖簾の製作実例:のれん|銭湯の店頭用としてオリジナル製作!
オレンジ色
温かさ・エネルギー・活力などを想起させるオレンジ色は、温かみがあり、陽気&元気で明るいイメージを人々に抱かせます。疲れ切った身体をリフレッシュして開放してくれる温泉地の湯のれんには特にオススメです。また、オレンジ色は食欲を増進する色でもあるため、キッチンや食卓にオレンジ色の暖簾を取り入れると、料理も食事もおいしく楽しくなるはずです。実際に飲食店のインテリアなどにもよくオレンジ色は頻繁に使われています。多幸感で満たされ、活力が湧き、前向きな気持ちにしてくれるオレンジ色の暖簾は業種を問わず、様々な場面で活躍します。
オレンジ色暖簾の製作実例:のれん|『鈴山農園』様の店内装飾用としてオリジナル製作!
紫色
昔は高貴な皇族の色として認識されていた紫色。神秘といった意味や、位の高さや高級感を想起させる色でもあり、役者に贈る楽屋のれんや、記念品用の暖簾としてよく使われています。余談ですが、江戸時代には金融機関から借金した者が返済するまで、紫色のれんをかけなければならない暗黙のルールが普及していたという興味深いエピソードも残っています。
紫色暖簾の製作実例:のれん|居酒屋『滝乃家』様の店頭用としてオリジナル製作!
まとめ
のれんは店舗や施設などの象徴としての役割も果たす重要なアイテムです。
名入れプリントをする内容ももちろんですが、のれん生地の色にもこだわることで、より一層お客さん・ユーザーに親しんでもらえるオリジナルオーダーのれんを製作することができるはずです。
オリジナルのれん製作時の、生地の色選びの参考にしていただければ幸いです。
- お急ぎのお客様も安心!1営業日中に返答します!!
-
運営会社:株式会社KILAMEK 電話番号:03-3350-8215 営業時間:平日9:00~19:00・土曜10:00~17:00・日曜/祝休み