関東と関西の暖簾(のれん)の特徴について
暖簾は店舗などの看板としてだけではなく、防風・遮光の役割も果たす日本独特の道具です。
平安時代頃に京都で発祥したと言われている暖簾は、現在の日本でも飲食店などの店舗出入口や店内に設置され、看板や装飾品としての役割を果たし、私たちの生活に深く根付いています。
しかし、普段生活している中で、暖簾の仕立てが地域によって異なるということにまで気付いている人はそこまで多くはいないと思います。
このページでは関東と関西での暖簾の仕立ての特徴や違い、その由来などについての雑学をご紹介します。
関東と関西の暖簾の比較
まず大前提として、関東と関西では暖簾の仕立ては異なりますが、この区分けが厳密に行われていたのは昔の話で、2024年現在では地域による仕立ての区分けはそこまで厳密には行われてはいません。
数百年・数十年日本で続く、伝統的なお店や業種では関東型と関西型の仕立てにこだわっている場合はありますが、基本的には暖簾を設置する環境や目的に合わせて個々で自由に仕立てを選ぶというスタイルが主流となっています。
正直、関東型と関西型の仕立ての違いを知らなくてもオリジナルのれんを製作することも可能です。しかし、現在まで継承されてきた暖簾文化の意味や経緯を知ることで、暖簾に対しての愛着も湧き、より理想に近い素敵な暖簾を作るためのヒントにはなるはずです。
それでは、関東型と関西型の暖簾について、具体的な特徴や違いをご紹介していこうと思います。
関東型の仕立て
関東型の暖簾の仕立ての特徴としてまず最初に挙げられるのは、暖簾に棒を通す上の部分に共チチと呼ばれる輪っかが取り付けられているということです。
共チチは、のれん本体と同じ生地を長方形に縫製し、のれん本体の上部に棒通し用の輪を等間隔で縫い付ける仕立て方のことを指します。
ちなみに、チチ仕立ての言葉の由来については、断続的に露出するさおの部分が複数の乳房(チチ)を持つメスのイヌの腹に見えることから、そう呼ばれるようになったといわれています。
尚、のれん全体の形の特徴としては、縦の長さは短めで横幅が長い暖簾が多い傾向にあります。
一説によると、江戸時代には暖簾をさっとくぐって店に入るのが粋であると考えられたため、関東型の暖簾は縦の長さが短めで横に長くなったといわれています。
関西型の仕立て
関西型の暖簾の仕立ても、関東型の暖簾と同様に、暖簾に棒を通す上の部分に特徴があります。
関西型の場合は、のれん本体の上部を裏側に折り返し、袋状にして棒通しの輪を作る、袋加工・袋縫い仕立て・棒袋仕立てなどと呼ばれる縫製が多く使用されています。
この暖簾の仕立ては、暖簾の発祥地といわれている、京都から広まったとされています。
一説によると、公家文化の色濃い京都を中心とした関西では、『隠すこと』が奥ゆかしくて良いとされる文化が主流だったため、暖簾と棒の隙間が無く、暖簾の先のお店の奥がしっかりと隠れる袋状の仕立てが広く普及したといわれています。
尚、のれん全体の形の特徴としては、縦長で目隠し効果の高い暖簾が多い傾向にあります。
まとめ
日本の文化に根付いて、時代の変化と共に発展を遂げてきた暖簾。
暖簾の変遷を調べていくだけでも、それぞれの時代や場所でどのような日本文化が形成されたかということを知ることができます。
日本と共に暖簾が培ってきた尊い文化は、これからも時代の需要に合わせて独自の進化を遂げていくはずです。
暖簾という素晴らしい日本文化を、我々がしっかりと引き継ぎ、より良いカタチに発展させて後世へと継承することができれば、暖簾は今後も日本文化の象徴のひとつとして世界中の人達に愛されていくことでしょう。
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