のれん分けの言葉の由来とは?
皆さんも恐らく一度は耳にしたことがあるであろう、のれん分けという言葉。
普段、何気なく使用したり聞いたりすることはあっても、言葉の起源・由来について調べたり、言葉の使われ方や効果について考えたことがあるという方は少ないのではないでしょうか。
例えば、この記事を書いている私の場合、知人にコアなラーメンファンが複数人いるのですが、彼らがお店のことを語る際に『のれん分け』という言葉は頻繁に登場します。彼らの中には「最近オープンしたあのお店は名店○○からのれん分けしているから美味しいよ」などと教えてくれる人もいるので、実際にお店に足を運んでみると、行列ができていて、実食すると確かに美味しいのです。このような経験から私自身も、のれん分けという言葉を聞くと妙に安心して説得力があると感じ、実際にお店に足を運んでみようと思う切っ掛けになっている言葉として受け止めているということに気付きます。
皆さんの中にも、のれん分けという言葉は耳慣れているという方も多いと思いますが、このページでは、オーダーのれんの専門店として改めて、のれん分けという言葉の意味や由来について学んで、役割や効果についても再考してみようと思います。
「暖簾(のれん)」という言葉の起源は?
まず最初に、のれんの起源について整理していこうと思います。
暖簾(のれん)は元々、禅宗の用語でした。禅寺で冬季の隙間風を防ぐために禅堂の入り口に掛けた、簾(すだれ)に綿布を重ねて隙間を覆う垂れ幕として誕生したと言われています。
暖かい簾ということで、最初は暖簾(のんれん)と発音されていたものが徐々に変化し、「のうれん」となり、現在の「のれん」という発音に定着していったということです。
「暖簾(のれん)」の歴史
前の項目でも言及したとおり、禅宗の用語として誕生した暖簾(のれん)は、禅宗と共に中国から日本に輸入されました。やがて禅寺だけでなく、家屋や商店でも広く使用されるようになります。古くは平安・鎌倉時代の絵巻物には既に、のれんの様な形や役割をしている、幌(とばり)と呼ばれていた布が登場します。
実際に暖簾という言葉が定着し、普及しはじめるのは、鎌倉時代末期から室町時代頃と言われていますが、いずれにせよ暖簾(のれん)は古くから日本の文化として親しまれてきた道具だということが言えそうです。
商店の象徴としての「暖簾(のれん)」
現代を生きる私たちは、のれんと言えばお店の出入口に掛けてある布というイメージを抱く方がほとんどかと思います。
のれんが実際に現在のように商店の象徴として普及しはじめるのは、安土桃山時代頃から江戸時代にかけてと言われています。
この頃からのれんには、商家の屋号・商標・家紋などがデザインされるようになり、商店の看板の役割も果たす宣伝・広告ツールとしてなくてはならない道具として定着するようになります。
その後ものれんは、伝統を引き継ぎながらアップデートも繰り返し、現代の「商店の象徴」や「お店の顔」としての地位を確立していくことになるのです。
暖簾(のれん)を分けるってどういうこと?
ここまでは暖簾(のれん)の起源や歴史について触れてまいりましたが、この項目では『暖簾(のれん)分け』の言葉の意味や由来について探っていきたいと思います。
前の項目でも言及したように、のれんは「商店の象徴」や「お店の顔」としての意味合いも持つようになり、更には屋号を記すケースも多いことから「店の信用」をも意味するようになります。
そこから発展して、ひとつの商家で長く誠実に務めた従業員に、本家が新たな商店を別家として任せる際に、同じ屋号を名乗らせて、本家と同じ屋号や家紋などをのれんに記し、更には資金援助をしたり、仕入れ先・得意先の分配といった直接的な援助の他に、お店の信用・信頼・格式といった無形の経済的利益も引き継いで商売するという形態が江戸時代頃から始まったと言われています。
上記のように別家は本家から資金援助をはじめ、仕入れ先・得意先の分配、お店の信用・信頼・格式などを受け継ぐことができるので、0からのスタートではない分、事業を早く軌道に乗せることができます。
一方、本家の最大のメリットは、別家ができることにより本家ブランド価値や格が上がるという点です。別家が増えたり活躍することで、自ずと本家の知名度も上がり、お客さんとの信頼関係も深めることができて、業績も安定して伸ばしていくことができます。資金援助をする際は当然金銭面ではマイナスにはなりますが、お金だけでは手に入れることができない、お客様からの信用・信頼、格式といった将来的に大きな財産となる無形の経済的利益を得ることができます。また、別家の事業が軌道に乗れば、独立した元従業員は本家に恩義を感じ、独立後も奉仕してくれるということも起こり得るのです。
このように、従業員が独立する際に、本家が屋号の使用を許可したり、親会社から子会社や関連会社が分離することも含めて、のれん分けと言い表すようになり、時を経てもなお、営業形態も言葉も現代まで引き継がれているのです。
のれん分け以外の、のれんを使った言葉
お店そのものを表す言葉と言っても過言ではない「のれん」は、のれん分け以外にも様々な用途で現在も使用されています。
例えば、従業員の様々な不祥事が原因で、お店の信用や名声を損なうことを「のれんに傷がつく」と表現したり、お店や会社を廃業することを意味する「のれんをたたむ」「のれんを下す」と言った言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
他にものれんという言葉は、会計用語としても広く使用されています。会計用語ののれんとは、企業の買収・合併の際に発生する、「買収された企業の時価評価純資産」と「買収価額」の差額のことを指します。
参考サイト:のれん (会計) wikipedia
このように、のれんについて色々と調べていると、のれんは道具としても言葉としても、古くから現在まで私たちが暮らしている日本の生活に根付いているということを改めて実感することができます。
まとめ
のれん分けという言葉を切っ掛けに、のれんのことを色々と調べていく中で、初めて知る事実や新たな解釈も知ることができて、とても勉強になったという充実感と同時に、のれんの奥深さに改めて感服するという複雑な感情が湧いてきました。
これからもオーダーのれんの専門店として、皆様それぞれの要望に応えることができるオリジナルオーダーのれんを提供できるように、のれんの知識や理解を深めながら、日々精進していこうと思います!!
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